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セブンイレブン24時間営業問題に思うこと|FCと従業員と、感謝の話

今、世間を賑わせているセブンイレブンFC店の24時間営業問題について、元セブンイレブン従業員として思うことを書いていきたいと思います。

こんな声の小さい私がブログで何を書こうと、世間は変わらないと思いますが、報道を観るたびに違和感を覚えるので、1つの記事として世に残したいと思います。

先に自分の立場を述べるならば、私はどうしても例のオーナーの味方側にはつけません。

その上でご興味のある方はお読みいただければと思います。

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コンビニ24時間営業は本当に必要なのか?

まずは「そもそも論」ですが、コンビニ24時間営業は本当に必要なのでしょうか?

客の立場

「必要かどうかはエリアによる」「すべての店舗が24時間営業である必要はない」という意見が、多くの方が腑に落ちる回答かと思います。ただ、そのエリアをどうやって線引きするのかは非常に難しく、売り上げや客数などだけで判断するのはあまりに軽率です。

「昼に働き、夜に眠る」という生活をする人が圧倒的に多い中で、「人不足でやばいらしいけど、本当にコンビニ24時間営業っている?」という前置きありのアンケートを行ったところで、それは民主主義とは言えません。

客という立場の身勝手な意見を述べるならば、私は必要だと思います。

これまで何度も深夜に利用していますし、冬の始発待ちで暖をとるのに助けられたこともあります。

  • 深夜に働くタクシードライバー・トラックの運転手
  • 居酒屋など深夜まで営業している従業員
  • 看護師など病院・救命病棟関係者
  • 深夜の掃除業者

こういった方達にとっても、あることで非常に便利で助かっていることは容易に想像がつきます。

「なければないで何とかなる」「別になくても死ぬわけではない」という意見があるようですが、そんなことを言い始めたら電気も水道もガスも、なくたって昔は生きていたのです。

文明の発展は、「あったらいいな」「便利になる」を追求することで実現されてきました。

そもそもコンビニ24時間営業は、「あったらいいな」「便利になる」が生んだ文明なのです。

深夜の労働を生む

もう1つ別な目線で意見をするならば、24時間営業が生み出しているのは売り上げだけでなく、「労働」なのです。

例のオーナーは「深夜営業をやめても、人件費を差し引きすれば大差ない」と発言していましたが、これはとんだ勘違いです。

では、世の中の「利益が出ていない」会社は無意味なのでしょうか?存在しないのとまったく同じでしょうか?それは大きな間違いです。

利益が出ていなくとも、多くの従業員の労働を生み出し、賃金を払い、税金を納めているのです。

目先の利益がゼロやマイナスならばやめてしまおうという安易な発想は、今後、日本の企業を脅かします。

今回のオーナーの考えはその最たる例だと思います。

FCをやりたいと言ったのは誰なのか?

ニュースを見ていると、例のオーナーを応援する声があるようです。

  • 寝る時間がなくてかわいそう
  • 労働者はコマなのか

といった内容がほとんどですが、そもそも「FCとして独立したいです」と手を挙げたのは誰なのでしょうか?

セブンイレブンジャパンが頭を下げて「この場所で君にFCとして独立してほしい」と言ったわけではありません。

あらゆるリスクを承知の上で、やりたいと申し出たのはこのオーナー本人です。

FCのオーナーは独立者です。社長です。ですから労働者ではありません。当然、労働基準法は一般社員のようには該当しません。それを選んだのも本人です。

例えばあなたの会社の同僚が、

「俺、もう誰かの指示で働くのはごめんだ!給料だって会社員には限界があるし、社長にへこへこするのもごめんだ。独立して自分の会社立ち上げてガンガン稼ぐんだ!」

と退職していったとします。

その人が1年後事業に大成功し、あなたにこう言ってきます。

「おまえさぁ、まだあのハゲ上司に使われてんの?俺なんか収入倍の倍の倍だよ。頑張った自分のおかげ。会社じゃ自分がいくら頑張っても金になんないからな。自由っていいよ。」

その人が、さらに1年後、事業が失敗してあなたに愚痴を言います。

「寝る時間もないし、ぜんぜん儲からない。助けてくれ。」

毎日、会社の指示を我慢して聞き、安定はあるけれども上限のある給料で働き続けていたあなたはどう思いますか?

「成功すれば自由で大儲けできるけど、失敗したらこうなることはわかってたんだよね?俺はそれが嫌だから会社でずっと我慢してたんだよ。自業自得じゃん?嫌なら辞めれば?」

もちろんオブラートに包んだ言い方になるかもしれませんが、よほどのお人よしでなければこうなると思います。

一般的な独立・起業家たちは失敗すれば地に叩き落とされるのに、セブンイレブンのFCオーナーの場合だけ「かわいそうだ」「オーナーであるまえに人間だ」という発言はあまりにぶっとんだ正義感ではないでしょうか?

このオーナーが、さまざまな営業作戦や従業員を集める工夫をし、大繁盛店にできていれば、毎日好きなだけ寝て、セブンイレブンの正社員でいるよりもはるかに高い収入を得ていたわけです。

一方で、安定した給料のために、いろいろなことを我慢して、社員としてセブンイレブンで働く方たちには、店の売り上げがどんなに上がろうと一定の評価をされるだけですが、労働基準法に守られた生活ができるのです。

どちらをとるかは自由です。ただしどうなったとしてもそれは自分の責任なのです。だから契約書があるのです。

フランチャイズ(FC)であることの恩恵

このオーナーに違和感を覚えたのは、フランチャイズ(FC)による恩恵への感謝があまりに感じられなかったからです。

独立を自分の力だけで継続することがどれだけ大変なことかの感覚が麻痺してしまっているのです。

もしも、「〇〇マート」など、まったく新しいコンビニを独立すると仮定します。

  • 土地
  • 店舗
  • 仕入先提携
  • 日々の発注
  • 内装・外観デザイン
  • 勤怠システム
  • 商品ラベルや値段
  • ポスター・チラシ
  • 商品開発
  • レジシステムの構築
  • 従業員募集

ざっと挙げただけでもこれだけのことを自分で用意する必要があるのです。しかし、セブンイレブンのFCシステムを利用すれば、ストアコンピューターやストアーターミナルで数値を入力するだけで簡単に発注ができ、毎週火曜日には新商品が並びます。(おそらくあれだけの商品を毎日自分の力で発注しようとしたら、それだけで寝る時間が足りないでしょう。)

商品の品質はセブンイレブンの商品開発部の折り込み済み、衛生管理も徹底されています。これがどれだけ安心できることか。

イベントの考案や実行に移す段取り、それを告知するポスターも準備してもらえます。(ポスターのデザインやのぼりだって、本来はすべてお金がかかるのです。)

勤怠はコンピューターで管理され、アルバイトの勤怠も深夜手当てや残業手当も勝手に計算されてでてきます。

そしてなにより、あの「セブンイレブンの看板」を掲げてお店を運営できるのです。

名もない小さいお店より、セブンイレブンの看板があることによる集客力が歴然であることは想像にたやすいことです。

もちろんフランチャイズである以上は、これらの恩恵をうけられる代わりに一定の料金をセブンイレブンジャパンに入れる必要があります。

それを加味しても、これだけのことをゼロから自分だけでやろうとすればどれほど大変なことか、その対価として金銭が発生することは当然のことです。

これだけの恩恵をうけておきながら、その感謝を棚に上げ、

「独立したオーナーなのに、営業時間を自分で決められないのはおかしい。」

との発言には耳を疑いました。

人・アルバイトが足りないのは誰のせいか?

アルバイト 従業員

そもそも今回のセブンイレブン24時間営業の発端は人手不足です。

確かに労働者減少の波を受けて、どこもかしこも人手不足なのはわかります。しかし、集まるところには集まるのです。

そして人が去っていくところは去っていきます。

私は以前、大手居酒屋チェーンで管理職をやっていました。そこで興味深い事象に出会いました。

ある店の店長は、常に従業員に困っています。「人がいない人がいない」とずっと嘆いていました。一人一人の時給がやけに高いことに違和感がありました。

またあるお店の店長は、従業員がたくさん集まり、人の足りない店舗にヘルプを出したりするほどでした。従業員の顔がキラキラしていたのが印象的でした。

さまざまな事情で、その2人の店長を入れ替える形で異動させました。

人不足に困っていた方の店長は、従業員が溢れるお店への異動に大喜びです。

「やったー。人がたくさんいるー。」

と言っていました。

しかし、わずか3ヶ月後、その店長から耳を疑うような連絡。

「人が足りません。ヘルプお願いできますか?」

と言ってきたのです。

あれほど従業員で溢れていたお店から、ごっそりと人が減り、同じようにお客様も減っていたのです。

一方で、従業員の少ない店舗に配属された店長は、

「いやー、ほんとうに人が少ないですねぇ。」

と、最初は悩んでいたのですが、3ヶ月後には他の店にヘルプを出せるほどまでに従業員が集まっていたのです。

その多くは、元お客様だそうです。飲みに来ていたお客様が、このお店で働いたら楽しそう、働かせてください、という形で集まったそうです。

 

この2人の大きな違いは、「感謝」「家族の想い」です。

 

人が去る店長は、「従業員がやめたい」と言ってきた時や、良いことをした時のご褒美に、なにかというと時給を上げて対処していました。従業員の私生活にはまったく興味がなく、どんなサークルに入っているか、将来の夢は、どうして働いているのかすら知りませんでした。

人が集まる店長は、時給を上げることもありましたが、それよりも、出勤してきた従業員に「今日も宜しくお願いします。」そして退勤する時に「今日も1日ありがとうね。すごく助かった。」と伝えていました。そして、従業員のことをよく知り、その大学の学園祭にも差し入れを持って行ったりしていました。

 

さて、今回の件に置き換えてみると、実はこのセブンイレブンには20名以上の十分なスタッフが在籍していたのです。これに裏付けられるように、人手不足が致命的に深刻なエリアではなかった事がわかります。

ところが、トレーナーを担当していた人望の厚かった奥様が不幸にも他界され、後の数ヶ月で、あれよあれよと7名8名程度まで人員が減ってしまったのです。

私は、「人が集まる人、人が去る人」の体験を思い出しました。

さらにオーナーは、「3月で大学生が6人も卒業しちゃって、慌てて募集かけたんだけど全然集まらず」とも語っていたのですが、

日本において、大学生が3月で卒業するというサイクルは、何十年も続いている歴史です。

従業員が大学4年生で、3月が来れば絶対にいなくなるということを、いつから想像できていたのでしょうか?

あまりに経営者として計画性や先を見る力、危機感に欠けているのでは?と疑問を抱きます。

 

アルバイト募集にはお金がかかります。数万円かかることも当然です。これを嫌がり、ケチって募集広告を出さない、あるいは減らす方もいるでしょう。

また、人不足で困っているのに、店の利益を優先する為に時給を上げることを躊躇するオーナーもいます。

別にそれは本人の自由です。従業員が少なくてもやれるのなら、やれば良いだけです。

戦略を練ったうえで、「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」、「やりたいこと」と「やりたくないこと」を決めて、自分の責任のもとでやるだけです。社長なのですから。

人員募集の方法やツールは世の中に溢れているのに、果たしてこのオーナーはどれだけ必死に調べ、どれだけお金をかけたのか?そして、どれだけ従業員がやめない為の工夫や努力をしたのか私にはわかりません。

人がごっそり辞めた、人が足りなくなって手遅れになった。無理だから深夜に店を閉めた。

今ある事実と結果はそれだけです。

フランチャイズ(FC)の定め

フランチャイズ(FC)契約書

フランチャイズという方式で独立したならば、「俺は社長だ、俺が全部決める」という発想は通用しません。

それがしたいなら、ゼロから自由にやるしかないのです。血の滲むような苦労を積み重ねれば、いずれセブンイレブンやローソンやファミリーマートのように大きい会社まで成長させることだって不可能ではありません。いずれにせよ、甘い蜜だけを吸うことはできないのです。

さて、コンビニだろうが居酒屋だろうが、フランチャイズには定めがあります。

それは、看板や設備、システムを借りる恩恵として、契約元の企業イメージやブランドを守ることです。

例えば、「刺身が美味しい」ことで拡大してきた居酒屋チェーンの看板を借りて集客しているのに、経営悪化で苦しいからと、勝手にコスト削減のために「安い刺身」を提供し始めたらどうでしょう?

一般客は、その店が直営店かFC店かなど気にしません。この看板ならば全国同じ店、同じサービスを受けられると認識します。

今時はSNSで瞬く間に口コミが広がり、企業そのものを脅かす時代です。当然企業は、企業が決めたルートで発注した刺身を提供することをオーナーに義務付けるはずです。

それに対してオーナーが、「独立したオーナーなのに、発注先まで指定されるのはおかしい。うちはうちで安い刺身で利益を得る経営戦略なのだ。」と突っぱねることが許されるでしょうか?

答えは明白です。

こんなことは、契約書に書いて有る無し以前の問題で、看板を借りている企業への「感謝」があれば生じない問題です。

 

今回の件に立ち返れば、実際に24時間営業が必要な店なのかどうかは別として、

「セブンイレブンは24時間空いている」という1つのブランド・企業イメージを、半ば強行的に脅かしたのです。(協議を重ねたという報道はありますが、結論が出る前に強行したのであれば結果は同じです。)

しかも、24時間営業をしますという契約書を取り交わしておきながらです。

「もう何ヶ月も休みがない。」

そうこぼしていましたが、そんな社長は世の中に山ほどいます。

むしろ、休みの日でも会社のことを考えている方がほとんどでしょう。休みたいとすら思わない社長だってたくさんいます。

なぜそうまでして社長は頑張るのか?

  • 自分についてきてくれた従業員の生活を守るため
  • サービスを待っているお客様のため
  • 自分の野望のため

やらなきゃならないし、やると決めたのは自分だからです。

一般的な起業家たちは、「無理・辞めた」では済まされないのです。自分に関わってくれた人たちを守る為に、「トラブル発生→どうする?」を思考錯誤し、時には形を変え、時には赤字を食いながらも突き進んでいるのです。

今回の件は、あまりにもフランチャイズの事や契約のこと、独立を決めたのは自分だということ、そして問題発生から解決するための覚悟が感じられませんでした。

それゆえ、このオーナーの主張に賛同することも、可哀想だとも私には思えなかったのです。

もちろん「命」あっての覚悟や人生という事を前提とした上です。

まとめ|セブンイレブン24時間営業問題

ここまで私なりの意見をまとめてきました。

セブンイレブンで働いたことがあり、安定の正社員を経験したこともあり、さらに現在は安定を捨て独立しているという、いろんな立場を経験した私なりの思いです。

1つだけキーになるワードがあるとすれば、「感謝」です。

  • 従業員への感謝
  • 看板への感謝
  • システムへの感謝
  • 働けることへの感謝

労働基準法で守られた環境下で働きたいなら、社員でいるべきです。ストレスもありますが、何ものにも代えがたい安定があります。

誰にも指図されたくない。働けるだけ働いて夢を叶える。お金を稼ぎたい。そういう方は、独立して社長になるべきです。

どちらを選択しようが誰もなにも言いません。その代わり、どうなろうが責任も取ってくれません。

 

最後に思うことは、「うちの隣のセブンイレブンが24時間営業でなくなったら困るな。」ということ。

 

今も頑張ってくれているセブンイレブンに携わる多くの方に、改めて感謝いたします。